他職種同士が連携することの難しさ

介護施設の仕事は介護士だけでなく様々な職種の人々とのチームプレイで成り立っています。

理学療法士や作業療法士はともかく、看護師と介護士は仕事の領域が隣り合わせであり、双方の間には衝突や亀裂が入ることが多々あります。そこには収入の差や「看護師は介護士より上」という誤った認識が関係してくる場合もあります。

一般に食事介助やおむつ交換、レクリエーションという生活面が介護士の仕事であり、胃瘻や膀胱留置カテーテル処置や体調管理といった医療的な分野を看護師が担っています。
しかし「これは看護師の仕事だから」と看護師が他の仕事で忙しそうにしていても、ただ傍観している介護士がいたり、「病院ではこうしていました!」と介護分野に関して高圧的に口を出す看護師がいたりします。
こうしてお互いの意思疎通が困難となり、双方の間にはわだかまりや壁が生じてしまうのです。

こうなってしまっては、お互い大事なものが見えていません。大事なのは入居者へ提供するサービスの質を向上させることです。

看護師も介護士も専門職で、どちらも勉強や努力の果てに得た資格です。介護の現場では、介護のスペシャリストと医療のスペシャリストとして互いに尊重しあい、その上で対等に意見を言い合うことのできる環境づくりが必要となってきます。

また介護士も入所者さんのケアに携わる以上、最低限の医療知識は必要となります。
看護師に依頼して医療的処置に関する勉強会をしてもらったり、看護師に不明な点を直接確認したりすることが重要です。
異職種同士の知識の共有や情報の共有は全体が連携・共働する環境において、サービスの質を向上させるという目的では必要不可欠なものなのです。